ニュー マハラジャ
1928年、ブシュロンは、パティアラのマハラジャからの依頼により、パリ・ヴァンドーム広場の歴史上最も大規模なジュエリーのスペシャルオーダーを受け、数多くのジュエリーを制作しました。2022年、クリエイティブディレクターのクレール・ショワンヌが、この至高の逸品へのオマージュとして誕生させた「ニュー マハラジャ」。ブシュロンのスタイルの歴史に新たなページを刻みます。
インド、パティアラのマハラジャ
1928年8月2日、ブピンドラ・シン殿下の来訪にヴァンドーム広場は歓喜しました。40人の従者を引き連れてパリを訪れたのです。マハラジャの一行を受け入れるために、オテル・リッツは35部屋のスイートを準備したと言われています。マハラジャは約2mの長身で、ジュエリーを非常に好むことでも有名でしたが、彼がジュエリーオーダーのためにどのジュエラーを訪れるかは誰も知りませんでした。その夏の日、6個の鉄製の金庫を抱えた従者と共に、ブピンドラ・シン殿下はヴァンドーム広場を抜け、ブシュロンのブティックを訪れました。そこで、彼は創業者フレデリック・ブシュロンの息子、ルイによって迎えられたのです。金庫の中身は、数千にもおよぶダイヤモンド、ルビー、エメラルド、パールでした。こうして、ルイ・ブシュロンは、マハラジャのために149ものデザインを考案しました。エメラルドやダイヤモンド、そして幾重にも連なるパールのネックレス、貴石で飾り立てたベルトなど、ブシュロンによって生み出されたハイジュエリーは、今日でも語り継がれる作品となったのです。
現代のマハラジャ
「パティアラのマハラジャのオーダーはおとぎ話のよう。いつ聞いても、夢心地になるのです」とクレール・ショワンヌは語ります。アーカイブに収蔵されている149点のデッサンが、このコレクションのインスピレーションとなりました。過去の作品を現代に合わせて再構築し、現代のマハラニやマハラジャ、個性やスタイルを表現したいと願う人々に捧げるコレクションです。
ニュー マハラジャ コレクションの創作のために、蓮の花、ターバンの装飾品、婚礼儀式のブレスレットといったインドを象徴する要素を取り入れるだけではなく、宝石彫刻といった伝統的な技法にも焦点を当てました。クレール・ショワンヌは、創造的かつ現代的な視点から、白や透明の色使いを採用することで純粋さを表現し、男女問わず自然な形で着用できる大胆なサイズのジュエリーをデザインしたのです。